雛人形の衣装は絹やレーヨン素材で作られています。
多様な色や柄があるので、黄ばみや虫食いなどで破損した場合、同じ素材で補修をしたり作り直すことはかなり難しいのです。
着物だけでなく、お人形の顔も保管には注意が必要。
というのも、お雛様の顔は、石膏や木でできた下地に「胡粉」(ごふん)と呼ばれる貝殻を砕いた絵の具を吹き付け仕上げてあります。
胡粉の原料の貝殻はたんぱく質を含んでいるため、油断しているとカビが発生することも。
カビが出た場合、一部分だけ修理をすることは難しく、顔全体に新しく塗料を塗りなおすことになってしまいます。
ということで、お雛様の保管にはかなり気を使います。
大切なお人形、できれば当初のままで残したいですよね。
なので保管の際にに気を付けることや、収納のケースや防虫剤についても調べてみました。
雛人形の保管|箱の材質
お雛様をしまう収納ケースには
- 段ボール
- プラスチックケース
- 桐の箱
があります。
この中で、一番保管に適しているのは「桐箱」。
桐には防虫と吸湿をするという特徴があります。
ただちょっと高価。
お雛様用に販売されている物は、大きくて場所もとるのです。
ということで今回は、プラスチックケースに収納することに。
家によくある、お洋服をしまう収納ケースです。
段ボールは痛みがひどく、虫もつきそうなのですでに処分してしまいましたが・・
人形のメーカーに問い合わせると、保管用の段ボールを購入できることもあるようです。
プラスチックケースでの収納の問題点と対策
雛人形の収納で一番気を付けないといけないのは「湿気」。
衣装に余分な水分が含まれた状態だと、しみや黄ばみの原因になります。
プラスチックケースは密閉性はあっても、湿度調整をすることができません。
なので、プラスチックケースに雛人形を収納する場合は、吸湿材を入れる必要があります。
シート状で、繰り返し使えるものが便利。
防湿材も、吸湿の許容量をこえてしまうことがあるので、梅雨時期など湿度の高くなる時期にはチェックした方が安心です。
押し入れって予想以上に湿気がこもるので、押し入れに収納する場合には要注意。
プラスチックケースでの収納|虫対策
防虫剤にもいくつか種類があります。
防虫剤を使用するなら、天然の樟脳がおすすめです。天然の樟脳は匂いが気になったとしても、少し風にさらすだけで匂いが引きます。
ただ、樟脳と言っても「合成樟脳」は金糸、銀糸、金箔を痛める物がありますので成分には気をつけてください。天然樟脳でも直接触れると金属に反応します。
引用:天鳳堂資料室
ナフタリンの鼻につくような香りが苦手なので、「天然の樟脳」を使うことにしました。
タイガーバームのような香りです。
防虫剤は、別の種類のものと混ざると化学変化をおこしてしまいます。
なので、1種類のみを使うようにしましょう。毎年同じものにした方が無難。
プラスチックケースでの収納|やってみた
ポリプロピレンの収納ボックスで、ちょうどよい大きさのものがありました。
長く実家の押し入れに眠っていたせいか、襟元に少し黄ばみが見えます。
小物は外しておきます。
デリケートなお顔の部分には、不織布をかぶせました。
お茶のパックがちょうどよい大きさ。
折れやすい手の部分も保護して、吸湿性のある紙でくるみます。
お内裏様も同様に
ちょうどおさまりました。
念入りにくるんで入れるので、大きめの箱が必要なんですよね。
底部分には吸湿材がしいてあります。
防虫剤が直接触れないよう、お人形の上に紙をもう一枚かぶせてから、こんな感じに樟脳を設置しました。
すこし蓋に隙間があったので、ビニール(ポリプロピレン)をかませて蓋をしました。
プラスチックの素材には要注意、というのも・・
「ポリスチレン」(PS)は、樟脳と一緒に使うと変質するので、収納には使わないようにします。
紙はこちらを使っています。
色々と使い道があって便利です。
まとめ
雛人形って、メーカーやシリーズごとに全然顔が違うのです。
自分のお人形の顔に慣れてしまうと、他のお人形の顔にはどうも違和感。
本来なら新しいお人形を娘に買うところですが、いくつも保管するのは大変&最近の笑ったお人形の顔がなじめないので我が家のお雛様はこれ。
娘もこの顔に愛着をもってくれるハズなので、末永く飾れるように大切に保管したいと思います。
桐箱はいずれ買いたいですね。